病院長あいさつ
済生会は明治天皇が「恵まれない人々のために施薬救療し、済生の道を弘めるように」との済生勅語に添えてお手元金を下賜され、明治44年に設立されました。
100年以上にわたる活動をふまえ、生活困窮者を済(すく)う・医療で地域の生(いのち)を守る・会を挙げ医療と福祉の切れ目のないサービスを提供するという三つの目標を掲げ、日本最大の社会福祉法人として全国40の都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会呉病院は昭和 5年の「済生会呉診療所」開設に始まり、同年 5月に「呉病院」に改称、昭和 9年に現在地に移転しました。そして、これまでの間、済生会創立の精神のもと、呉圏域内の公的病院として二次救急医療を担うとともに、地域の皆様の医療の向上と福祉の増進に努めてまいりました。
近年急速に高齢化が進行しており、厚生労働省は高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活を営むことができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が切れ目なく一体的に提供される体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
そして地域包括ケアシステムの一環として、平成26年度の診療報酬改定により新たに地域包括ケア病床が認められました。地域包括ケア病床は、ポストアキュート(急性期病院での医療後すぐには在宅や施設復帰できない患者さんを受け入れる機能)、サブアキュート(在宅や介護施設から急性増悪した患者さんを受け入れる機能)、在宅・生活復帰支援、介護者の休養のためのレスパイト入院などの役割があります。
当院は平成26年に地域包括ケア病床を設置しましたが、その後徐々に急性期病床からの転換を行い、令和7年2月には当院の有する150床のうち127床が地域包括ケア病床となりました。呉医療圏の機能別病床数は、必要病床数と比較すると、高度急性期・急性期・慢性期病床が充足傾向、地域包括ケア病床などの回復期病床が不足傾向にあります。当院が急性期病床を地域包括ケア病床に大幅に転換したことは、回復期病床が不足している呉医療圏の医療ニーズに即した対応だったと考えています。また、呉市の高齢化率は全国平均を上回り、高齢者のうち一人暮らしの割合は約4人に1人となっています。
高齢化がいち早く進む呉医療圏のなかで、色々な問題を抱えた高齢者を当院で受け入れることにより、少しでも地域貢献できればと考えています。
当院は、これからも人間尊重・良質な医療・快適な療養環境を三つの柱として、患者さんに信頼される医療提供を目指すとともに、地域における医療、保健、福祉サービスの向上に貢献してまいりたいと考えておりますので、ご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。